中外製薬

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各位

2013年02月25日

HER2陽性転移性乳がんの治療薬として初の抗体薬物複合体である
ロシュ社のKadcyla(trastuzumab emtansine)がFDAにより承認

第Ⅲ相臨床試験において、個別化医療に供する新しい治療薬が標準治療に比べ患者さんの生存期間を延長

【参考資料】

当参考資料は、F. ホフマン・ラ・ロシュが2013222日(スイス現地時間)に発表した英文プレスリリースを、戦略的アライアンスを締結している中外製薬が翻訳版として、報道関係者の皆様に提供させていただくものです。

従いまして、日本国内と状況が異なる場合があること、また、正式言語が英語であるため、表現や内容につきましては英文プレスリリースが優先されますことをご留意下さい。

英文プレスリリースは、下記URLよりご参照下さい。

http://www.roche.com/media/media_releases/med-cor-2013-02-22.htm

 

Trastuzumab emtansineT-DM1)について

・国内では、胃がんを対象とした多国籍第相臨床試験に参加しています。

HER2陽性転移・再発乳がんを対象として申請中です。

2013年2月22日 バーゼル発

ロシュ社は本日、米国食品医薬品局(FDA)がHerceptintrastuzumab)およびtaxane系薬剤による化学療法を受けたことのあるHER2陽性転移性乳がん(mBC)患者さんへの治療薬としてKadcylatrastuzumab emtansineまたはT-DM1)を承認したことを発表しました。Kadcylaは、過去2年間において、進行がんの患者さんの治療薬としてFDAにより承認され、ロシュ社から発売される四つ目の薬剤です。

 

抗体薬物複合体(ADC)は、特定のがん細胞に結合し化学療法剤を直接送達する、がんに対する新たな分子標的治療薬です。Kadcylaは、乳がんの中で悪性度の高いHER2陽性mBCの治療薬として初めてFDAから承認を取得したADCです。

 

ロシュ社の最高医学責任者兼国際開発責任者のHal Barron博士は、「Kadcylaは、HER2陽性mBCの治療薬として全く新しい作用機序を有するADCで、EMILIA試験においてKadcyla投与群では約6カ月の生存期間の延長が認められました」と述べるとともに、「現在、我々のパイプラインでは25種類以上のADCを保有しており、この有望な治療アプローチにより、将来、他のがん腫で多くの治療薬を届けることを希望しています」と語っています。


Kadcylaは、抗体医薬品であるtrastuzumabと化学療法剤であるDM1が安定したリンカーにより結合し、創製されています。Kadcylaは、trastuzumabDM1の双方の作用機序を兼ね備えており、FDAから承認されたロシュ社では初めてのADCです。ロシュ社は10年以上に亘りADCの研究を行っており、保有している八つのADCについて異なるがん腫で第相または第相臨床試験を行っています。

 

ロシュ社は、HER2陽性mBC患者さんへのKadcylaの使用について、欧州医薬品庁を含む世界各国の規制当局にも医薬品市販承認申請を行いました。現在、この申請はEMAで審査中です。

 

HER2陽性mBCにおけるKadcylaの有効性

FDAによるKadcylaの承認は、Herceptinおよびtaxane系薬剤による化学療法を受けたことがある991名のHER2陽性局所進行乳がんまたはmBC患者さんを対象とし、Kadcyla単独とlapatinibXelodacapecitabine)併用とを比較した無作為化オープンラベル国際共同第相臨床試験であるEMILIATDM4370g/BO21977)試験の結果に基づいています。試験結果は以下のとおりです1)

・本試験では、二つの有効性の主要評価項目として設定した全生存期間と独立評価機関判定による無増悪生存期間(PFS)の双方の改善を達成しました。

Kadcyla投与群では、これらの患者さんに対する標準治療であるlapatinibXeloda併用群に比べ、全生存期間(OS)の中央値が5.8カ月延長しました(OS中央値:30.9カ月対25.1カ月)。

Kadcyla投与群ではlapatinibXeloda併用群に比べ、死亡リスクが32%減少しました(ハザード比0.68P=0.0006)。

Kadcyla投与群ではlapatinibXeloda併用群に比べ、PFSが統計学的に有意に延長しました(ハザード比0.65、病勢進行または死亡リスクが35%減少、p<0.0001PFS中央値:9.6カ月対6.4カ月)。

新たな安全性のシグナルは観察されず、有害事象はこれまでの試験で報告されたものと同様でした。Kadcyla投与群ではlapatinibXeloda併用群に比べ、グレード3またはそれ以上(重篤)の有害事象の発現率は低いものでした(43.1%59.2%)。

Kadcyla投与群で多く発現(2%以上の患者さんで発現)したグレード3またはそれ以上の有害事象は血小板数減少(14.5%)、肝および他の臓器から分泌される酵素値の上昇(8.0%)、赤血球数減少(4.1%)、血中カリウム値減少(2.7%)、神経障害(2.2%)、および疲労感(2.5%)でした。

 

Kadcylaについて

ADCであるKadcylaについてHER2陽性がんに対する研究が続けられています。Kadcylaは、ロシュ社とジェネンテック社が30年に亘り行ってきたHER2シグナル伝達系の研究成果から得られた初めてのADCであり、HER2陽性乳がんの治療薬としてロシュ社では三つ目の薬剤となります。

 

Herceptinと同様、KadcylaHER2陽性細胞に結合し、生体の免疫系にがん細胞を攻撃するよう指示を出すとともに、がんを増殖させる制御不能なシグナルを遮断すると考えられています。Kadcylaは、これらのがん細胞中に取り込まれると、細胞中でDM1が放出され細胞を破壊するように設計されています。

 

ロシュ社は、ImmunoGen, Inc.との契約の下、Kadcylaに関する技術をライセンスしています。

 

乳がんについて

乳がんは、世界中の女性に最も頻発するがんです2)。毎年世界中で約140万人が新たに乳がんと診断されており、年間45万人以上が乳がんで死亡しています2)HER2陽性乳がんは、腫瘍細胞表面上のHER2の発現量が増加しています。これは「HER2陽性」として知られており、乳がん女性の約1520%HER2陽性と報告されています3)HER2陽性がんは乳がんの中で特に悪性度の高い型です4)

 

ロシュ社について

ロシュ社は、スイスのバーゼルに本社を置く医薬品ならびに診断薬事業の双方に強みを持つ研究開発型の世界的ヘルスケア企業です。ロシュ社は、がん、感染症、炎症、代謝ならびに中枢神経系領域において他社と一線を画した薬剤を保有する世界最大のバイオテクノロジー企業です。さらにロシュ社は、体外診断薬とがんの組織学的診断での世界的リーダーであり、また、糖尿病管理の先駆者です。ロシュ社では、パーソナライズド・ヘルスケア戦略を駆使し、患者さんの健康、QOL、延命を明確に改善する薬剤や診断薬の提供を目指しています。2012年、ロシュ社は世界各国に約82,000人の社員を擁し、研究開発費に80億スイスフラン以上の投資をしています。ロシュ・グループの2012年の売上げは455億スイスフランでした。ジェネンテック社(米国)は、100%子会社としてロシュ・グループのメンバーとなっています。また、ロシュ社は中外製薬(日本)の株式の過半数を保有する株主です。さらに詳しい情報はwww.roche.comをご覧下さい。

 

本プレスリリースに使用された商標等はすべて法律で保護されています。

 

追加情報

Roche in Oncologywww.roche.com/de/media/media_backgrounder/media_oncology.htm

 

参考文献

1. Verma S, et al. Trastuzumab Emtansine for HER2-positive Advanced Breast Cancer. N Engl J Med 2012; 367:1783-1791.

2. Ferlay J, et al. GLOBOCAN 2008, Cancer Incidence and Mortality Worldwide: IARC Cancer Base No. 10 [Internet]. Lyon, France: International Agency for Research on Cancer; 2010. Available from: http://globocan.iarc.fr.

3. Wolff A.C et al. American Society of Clinical Oncology/College of American Pathologists Guideline Recommendations for Human Epidermal Growth Factor Receptor 2 Testing in Breast Cancer. Arch Pathol Lab Med 2007: 131.

4. Slamon D et al. Adjuvant Trastuzumab in HER2-Positive Breast Cancer. N Engl J Med 2011; 365:1273-83.

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