中外製薬

本文を印刷する

各位

2013年01月29日

抗体薬物複合体「トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)」
HER2陽性転移・再発乳がんを対象とした製造販売承認申請

中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/代表取締役会長 最高経営責任者:永山 治](以下、中外製薬)は、HER2陽性転移・再発乳がんを対象として開発を進めておりました抗体薬物複合体トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)(別称:T-DM1)の製造販売承認申請を本日、厚生労働省に対して行いましたのでお知らせいたします。

 

今回の申請は、海外第相臨床試験(EMILIA試験)、および国内で行われた第相臨床試験の成績に基づいています。

EMILIA試験は、初期治療としてトラスツズマブおよびタキサン系薬剤を含む化学療法を受けた後に病勢進行が認められた、HER2陽性の切除不能な局所進行または転移性乳がん患者さんを対象とし、T-DM1単独療法とラパチニブとカペシタビンの併用療法とを比較した多国籍共同第相臨床試験です。なお、EMILIA試験には日本からは参加しておりません。

 

主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS)において、T-DM1群では併用群に比べ病勢進行または死亡のリスクが35%減少し、PFS中央値は併用群の6.4カ月に対しT-DM1群では9.6カ月と、3.2カ月の延長が認められました(ハザード比0.65p<0.0001)。また、もう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)に関しても、T-DM1群では併用群に比べ死亡のリスクが32%減少し、OS中央値は併用群の25.1カ月に対しT-DM1群では30.9カ月と、5.8カ月の延長が認められました(ハザード比0.68p=0.0006)。

安全性については、T-DM1群では併用群に比べグレード3またはそれ以上(重篤)の有害事象の発現率は低いものでした。なお、併用群に比べT-DM1群で多く発現したグレード3またはそれ以上の有害事象は血小板数減少、AST上昇、ALT上昇等でした。

また、国内第相臨床試験において、日本人の患者さんにおけるT-DM1の有効性および忍容性も確認されています。

 

日本において乳がんの新規罹患者数は年々増加しており、2015から2019年の年間平均新規罹患患者数は約60,000人と推計されています。なお、乳がん患者さんの約20%HER2陽性と診断されています。

 

オンコロジー領域のトップ製薬企業である中外製薬は、患者さんおよび医療従事者に早期に新たな治療選択肢が提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります。

 

祖父江友孝、他「がん・統計白書2012 -データに基づくがん対策のために」(篠原出版新社)

 

以上


トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)(別称:T-DM1)について

T-DM1は、抗体医薬品であるトラスツズマブ(ハーセプチン®)と化学療法剤であるエムタンシンが安定したリンカーにより結合しています。T-DM1HER2を標的とするように設計されており、トラスツズマブによるHER2シグナル伝達の阻害と抗体依存性細胞障害作用とともに、化学療法剤エムタンシンを直接HER2陽性のがん細胞の内部に送達させ、これらのがん細胞を破壊します。

ジェネンテック社は、既治療のHER2陽性乳がんを対象としたT-DM1の生物製剤承認申請(BLA)を米国食品医薬品局(FDA)に行っています。また、ロシュ社は同じ効能・効果にて医薬品市販承認申請を欧州医薬品庁(EMA)に行っています。FDAT-DM1BLAを優先審査に指定しており、FDAによる承認に関する決定通知日は、2013226日を予定しています。

 

HER2をターゲットとした個別化医療への取り組みについて

トラスツズマブ(ハーセプチン®)は、HER2を標的としHER2シグナル伝達系を阻害するロシュ社が開発した個別化医療を実現させた薬剤です。

ペルツズマブもHER2を標的としていますが、トラスツズマブとは異なった作用機序を有しています。ペルツズマブは細胞表面上で、がんの増殖や生存に関与すると考えられているHER2と他のHERファミリー受容体との二量化を阻害するように設計された薬剤です。また、ペルツズマブがHER2と結合すると、生体の免疫系によるがん細胞の破壊を引き起こします。なお、中外製薬ではHER2をターゲットとした薬剤としてHER二量体化阻害ヒト化モノクローナル抗体ペルツズマブの製造販売承認申請を2012525日に行っています。

HER2検査は、患者さんがHER2陽性か否かを判定するために、薬剤投与前に行われます。これは、HER2を標的とした治療に最大限の効果が認められる患者さんの選択を可能とします。日本ではHER2検査が普及しており、約9割の乳がん患者さんでこの検査が行われています。

[ PDF 290KB]

PDFファイルをご覧になるには、Adobe® Reader®がインストールされている必要があります。
インストールされていない場合は左のアイコンからダウンロードが可能です。

閉じる