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CEOレター

イノベーションを原動力として、世界の患者さんに貢献 前例のない挑戦に取り組み、患者さんのための革新を果たすことで、トップ製薬企業を目指していきます。 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO)永山 治

着実に成長するも外部環境は激変

中外製薬は、2010年代後半に目指す姿として「トップ製薬企業」を掲げています。その早期実現への加速期間と位置づけ、2013年からの3年間で遂行した中期経営計画ACCEL 15では、当初の目標をほぼ達成し、着実な成長の姿をお示しできたことをうれしく思います。
しかし、医薬品業界を取り巻く環境は大きく変わってきており、各国で医療費抑制策が進められると同時に、安全性や品質に関する規制は強化されています。研究開発においては、開発成功確率の低下やコスト高騰により、グローバルでの研究開発競争は熾烈を極めています。
国内に目を転じれば、2015年6月に出された政府の方針(骨太の方針)では、「成長戦略に資する創薬に係るイノベーションの推進」が織り込まれるなど、医療関連分野への期待はますます高まる一方、「後発医薬品シェア80%」という新目標も盛り込まれました。薬価についても、2016年4月から特例拡大再算定が導入されるほか、3年連続の薬価改定が想定されるなど、中外製薬にとっても極めて厳しい環境となります。

これまでの取り組みで強みが確立

2002年のロシュとの戦略的アライアンスでは、このような一連の環境変化をある程度予見し、ロシュ、ジェネンテック、中外製薬の3社が協働することで、環境変化に耐えながら画期的な医薬品を創出していくことを目指しました。その結果、ロシュ・グループ全体では、世界最大規模となる年間1兆円の研究開発費を投じ、グループ3社が各々の強みを発揮した活動を行うことができています。
こうした中、中外製薬は強みを持つ分野への集中投資を行うことで、世界でも有数の抗体改変技術を開発し、抗体最適化の要素技術での特許数は世界トップクラスとなったほか、低分子においても強力な新薬創製技術を確立しています。近年では、これらの取り組みが結実して革新的な新規プロジェクトを次々と生み出し、2014年から2015年にかけて3品目が米国食品医薬品局(FDA)からBreakthrough Therapy(ブレークスルーセラピー:画期的治療薬)に指定されました。
同時に、激化するグローバル開発競争の中で複数品目の開発を迅速に行うべく、新たな開発モデルの確立やシームレスな治験薬生産体制の構築などに取り組み、開発・生産体制も格段に高度化しています。さらに、一層スピードを持ったグローバル開発を実現するため、2014年には導出に関するロシュとの契約を一部変更し、early PoC*1と呼ばれる、より早期の段階で意思決定を行えるようにしたほか、2015年には初期開発機能の強化を目的に、トランスレーショナルクリニカルリサーチ本部を新設し、グローバル開発体制を刷新・強化しました。
マーケティング面では、個別化医療*2の普及や地域医療への貢献なども高く評価され、国内プレゼンスは一層高まるとともに、エリアマーケティングの革新などが奏功し、営業生産性はACCEL 15スタート当初から約22%向上しています。そして、自社創製品のロシュ向け輸出の伸長などにより、海外売上高も約11%拡大しました。また、メディカルアフェアーズや医薬安全性といった分野でも、国内屈指の体制を確立しています。

世界の患者さんに貢献すべく前例のない挑戦を

このように中外製薬は、各機能が国内トップクラスのレベルに到達したと自負していますが、現状に満足していては、世界の患者さんに新しい価値を届け続けることはできません。病態メカニズムの解明のほか、ICTやゲノムプロファイリングの技術革新などにより、研究開発のパラダイム変化も想定されますので、現在の強みを進化させ、自らで革新を起こし続けることが不可欠です。
2016年からスタートした新中期経営計画IBI 18においても、これまでの延長線ではなく、各機能がグローバルトップクラスの競争力を獲得・発揮することを目指しています。重点テーマとしては5つを掲げていますが、いずれも他社を追いかけるようなものではなく、いわば「海図のない航海」に乗り出していきます。
過去を振り返れば、中外製薬は、他社に先んじたバイオ研究への着手、抗体医薬品創製・生産への大型投資、ロシュとの提携など、他に例を見ない変革を果たし、自ら道を切り開いてきました。我々は、前例のない挑戦を成長につなげる力を備えていると、私は確信しています。
そして、こうした革新を生み出し、価値創造の源泉となるのは、何といっても人財です。ダイバーシティ推進を加速し、自律的に革新に取り組む組織風土を確立するとともに、人財戦略も刷新し、グローバルトップクラスの人財輩出のスピードを上げていきます。
中外製薬の標榜する「トップ製薬企業」とは、各ステークホルダーに高い満足を提供し、積極的に支持される信頼性の高い企業です。世界には、未だ治療法のない病気が数多く存在し、人々を苦しめています。アンメットメディカルニーズ*3に対応すべく、患者さんのための革新を続けることこそ、真のトップ製薬企業像を実現し、企業価値を向上する道だととらえています。
スローガンの「創造で、想像を超える。」や、新中期経営計画の名称に表したように、私たちはイノベーションを原動力として、世界の患者さんに貢献していきます。
株主・投資家の皆さまにおかれましては、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

*1  研究段階で構想した薬効がヒトでも有効性を持つことを実証すること(Proof of Concept)で、early PoCは「限られた例数で、安全性に加え、有効性の兆候または薬理作用が確認されること」を意味する
*2  個々の患者さんの分子・遺伝子情報に応じて治療計画を立案・実行する治療法
*3  いまだに有効な治療方法がなく、十分に満たされていない医療ニーズ

代表取締役会長 最高経営責任者(CEO)

永山 治