閉経後骨粗鬆症治療薬「エビスタ®錠60mg」
(塩酸ラロキシフェン)新発売について
中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/社長:永山 治](以下、中外製薬)、ならびに日本イーライリリー株式会社[本社:兵庫県神戸市/社長:ニュートン F.クレンショー](以下、日本イーライリリー)が、閉経後骨粗鬆症治療薬『エビスタ錠60mg』(一般名:塩酸ラロキシフェン)を、5月12日に発売することを、本日発表いたしました。『エビスタ錠60mg』は、日本イーライリリーが厚生労働省に新薬承認申請を行い、2004年1月29日に承認を受け、2004年4月23日に薬価収載された薬剤です。中外製薬と日本イーライリリーは、1995年12月に共同開発・販売契約を締結し、両社で本剤の開発にあたりました。日本では、中外製薬と日本イーライリリーが、『エビスタ錠60mg』の製品名で、1ブランド2チャンネルによる並行販売を行います。
『エビスタ錠60mg』は、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(Selective Estrogen Receptor
Modulator:SERM)と呼ばれる化合物のひとつで、エストロゲン受容体と結合することで、骨吸収を抑制する作用を発揮します。しかし、エストロゲンのようなホルモンではありません。また、「選択的エストロゲン受容体モジュレーター」の名前が示すとおり、組織により作用が異なるという特徴があります。つまり、骨に対してはエストロゲン様作用を示しますが、子宮や乳房に対してはエストロゲンと異なり、刺激作用が少ないという特徴を持っています。
『エビスタ錠60mg』は、1日1回1錠を、食事や時間に関係なく服用できます。
『エビスタ錠60mg』は、イーライリリー・アンド・カンパニー(本社:米国インディアナ州インディアナポリス市/会長・社長兼CEO:シドニー・トーレル)が発見、開発した薬剤で、米国では1998年1月に、選択的エストロゲン受容体モジュレーターに属する薬剤としては初めて、閉経後骨粗鬆症予防薬として発売されました。1999年には閉経後骨粗鬆症治療薬としての適応も取得しています。現在では、世界90ヵ国以上で承認されており、これまでに1000万人以上の閉経後女性に処方されています。2003年暦年の全世界でのエビスタの売上は、9億2210万ドルで、対前年比12%増でした。
海外での承認にあたっては、7,705名が参加した大規模臨床試験(多施設共同プラセボ対照二重盲検無作為化並行群間比較試験)であるMORE(Multiple
Outcome of Raloxifene Evaluation)試験の結果が評価されました。
日本では、海外データの外挿による承認申請を目的とし、中外製薬と日本イーライリリーが共同で臨床試験を実施しました。日本人と外国人の薬物動態を比較し、両民族間に投与量の調整は必要ないと推定できたこと、また骨粗鬆症の病態的差異はないと推定できたことから、日本におけるブリッジング試験を実施し、有効性および安全性を検証し、民族間の類似性を評価しました。その結果、日本人における骨粗鬆症治療薬としての有用性が示され、海外で実施した大規模臨床試験結果との類似性が認められたことから、厚生労働省より承認を受けました。
骨粗鬆症が原因で骨折を起こし、寝たきりになると、本人のQOLが損なわれるばかりでなく、介護にあたる家族の負担や、介護費用の負担が増加するといった社会的な問題にも影響を及ぼします。そのため、骨折を抑制するための治療の重要性が増加していますが、特に骨折抑制効果が科学的に証明された薬剤へのニーズは今後ますます高まるものと考えています。
以上
【本プレスリリースに関するお問い合わせは:】
中外製薬株式会社 広報・IR部 山口暢之
TEL 03−3273−0881
FAX 03−3281−6607
日本イーライリリー株式会社 渉外企画部 企画・広報 三井貴子
TEL 078−242−9614
FAX 078−242−9169
【参考資料】
MORE試験について
MORE試験は、閉経後骨粗鬆症女性(80歳以下の原発性骨粗鬆症と診断された閉経後女性)7,705名を対象とし、既存椎体骨折のある群、既存椎体骨折のない群の2群に分け、各群を、プラセボ群、エビスタ60mg群、エビスタ120mg群に分けて実施されました。主要評価項目は、新規椎体骨折の抑制効果と骨密度(BMD)の増加でした。
MORE試験(36ヵ月)において、エビスタ60mg群は、既存の椎体骨折がない女性において、新たな椎体骨折の発生率を55%低下させました。既存の椎体骨折のある女性に対しても、新たな椎体骨折の発生率を30%低下させました。
また、エビスタ60mg群は、投与12ヵ月(1年)においても、自覚症状を伴う新規の椎体骨折の発生率を、プラセボ群と比較して68%抑制し、投与開始早期において効果が発現することが示されました。また、投与48ヵ月(4年)においても、新規の椎体骨折発生率が低下していることが示され、長期間、骨折抑制効果が継続することが示されました。
腰椎骨密度の変化率については、MORE試験において、エビスタ1日1回60mgを36ヵ月(3年間)投与したところ、腰椎の骨密度は有意に増加し、ベースラインからの増加率は、腰椎が36ヵ月で3.2%でした。なお、国内のブリッジング試験においては、腰椎骨密度の増加率が12ヵ月で3.5%でした。
日本では、海外データの外挿による承認申請を目的とし、中外製薬と日本イーライリリーが共同で臨床試験を実施しました。日本人と外国人の薬物動態を比較し、両民族間に投与量の調整は必要ないと推定できたこと、また骨粗鬆症の病態的差異はないと推定できたことから、日本におけるブリッジング試験を実施し、有効性および安全性を検証し、民族間の類似性を評価しました。その結果、日本人における骨粗鬆症治療薬としての有用性が示され、海外で実施した大規模臨床試験結果との類似性が認められたことから、厚生労働省より承認を受けました。
骨粗鬆症について
|
|
|
|
正常な骨梁
|
|
骨粗鬆症
|
骨粗鬆症は、骨がすかすかになり、椎体(脊椎)や大腿骨頸部等の骨折が起こりやすくなる病気です。骨粗鬆症は特に閉経後女性に顕著に見られる疾病です。日本では骨粗鬆症患者さんが1000万人、そのうち閉経後骨粗鬆症患者さんは800万人と言われていますが、実際に治療を受けている患者さんは、閉経後骨粗鬆症患者さんのうちの25%程度(約200万人)と推定されています。
骨粗鬆症が進行すると、椎体骨折が起こりやすくなります。日本人女性の椎体骨折の有病率は、外国人女性と比較して高いことが報告されています(Fujiwara S,
et al.: J Bone Miner Res. 18, 1547-1553, 2003)。椎体骨折は、ひとつ骨折を起こすと、二つ目以降の骨折が起こりやすくなることから、骨粗鬆症による最初の椎体骨折を抑制することが重要となります。一方、寝たきりの原因となる大腿骨頸部骨折は、70歳以降に多くなる骨折で、骨粗鬆症に加えて、転倒などの外傷と関連して起こることが多い骨折です。
【骨粗鬆症治療剤『エビスタ錠60mg』の概要】
|
一般名
|
塩酸ラロキシフェン(Raloxifene HCl)
|
|
製品名
|
エビスタ錠60mg(Evista tablets 60mg)
|
|
日本での承認
|
2004年1月29日(適応:閉経後骨粗鬆症)
|
|
用法・用量
|
閉経後女性の骨粗鬆症治療薬として、1日1回1錠(60mg)を、経口投与する。
|
|
薬理作用
|
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)のひとつで、エストロゲン受容体と結合することで、骨吸収を抑制する作用を発揮する。
|
|
剤形
|
白色楕円形のフィルムコート錠(1錠中塩酸ラロキシフェン60mg含有)
|
|
製造
|
イーライリリー・アンド・カンパニー(米国本社)の英国現地法人の製造施設で製造し、日本イーライリリー株式会社が輸入し、同社西神(せいしん)工場で最終包装を行い出荷。
|
|
発売・販売
|
2004年5月12日発売。中外製薬株式会社と日本イーライリリー株式会社のそれぞれの特約店網を通じて、1ブランド2チャンネルによる並行販売を行う。
|
|
薬価
|
60mg 1錠 159.3円
|
|
海外での使用状況
|
1998年1月に米国で閉経後骨粗鬆症予防薬として発売。(その後米国では1999年に閉経後骨粗鬆症治療薬の適応症を取得)。現在、世界90ヵ国以上で、閉経後骨粗鬆症治療薬、予防薬として承認されている。
(日本では、閉経後骨粗鬆症の治療剤としてのみ適応。)
|
|
国内での臨床試験
|
日本におけるエビスタの臨床開発は、海外データの外挿による承認申請を目的とし、中外製薬株式会社と日本イーライリリー株式会社との共同で実施した。日本人と外国人の薬物動態を比較した結果、両民族間に投与量の調整は必要ないと推定できたこと、また骨粗鬆症の病態的差異はないと推定できたことから、日本におけるブリッジング試験を実施し、有効性および安全性を検証し、民族間の類似性を評価した。その結果、日本人における骨粗鬆症治療薬としての有用性が示され、海外で実施した大規模臨床試験結果との類似性が認められた。
|
|
副作用
|
国内のプラセボを対照とした臨床試験において、エビスタ30〜120mg/日を服用した安全性評価対象311例中117例(37.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。報告された主な副作用は、ほてり9例(2.9%)、乳房緊満9例(2.9%)、嘔気5例(1.6%)、多汗5例(1.6%)、そう痒症5例(1.6%)、下肢痙攣4例(1.3%)であった(承認時)。
また日本でのブリッジング試験においては発現していないが、外国でのプラセボを対照とした臨床試験において、本剤投与における重大な副作用として、静脈血栓塞栓症(VTE)[深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症(PE)、網膜静脈血栓症(RTV)を含む]が報告され、その発現頻度は本剤60mg投与群2,557例中25例(1.0%)、本剤120mg投与群2,572例中24例(0.9%)であった。
|
【両社の概要】
|
中外製薬株式会社について
|
|
会 社 名
|
中外製薬株式会社
|
|
創 業
|
1925(大正14)年3月
|
|
設 立
|
1943(昭和18)年3月
|
|
資 本 金
|
682億3700万円
|
|
本社所在地
|
東京都中央区京橋2−1−9
|
|
代 表 者
|
代表取締役社長 永山 治
|
|
売 上 高
|
2,327億4800万円
(2003年12月期:決算期変更により当年度の決算期は9ヵ月間)
|
|
社 員 数
|
5,680名
|
|
事業内容
|
医薬品、医薬部外品等の製造・販売・輸出入
|
|
日本イーライリリー株式会社について
|
|
会 社 名
|
日本イーライリリー株式会社
(イーライリリー・アンド・カンパニーの100%出資子会社)
|
|
設 立
|
1975年11月1日
|
|
資 本 金
|
69億1400万円
|
|
本社所在地
|
兵庫県神戸市中央区磯上通7−1−5
|
|
代 表 者
|
代表取締役社長 ニュートン F.クレンショー
|
|
売 上 高
|
600億1700万円(2003年決算ベース)
|
|
社 員 数
|
1,500名
|
|
事業内容
|
糖尿病をはじめとする内分泌領域、統合失調症をはじめとする中枢神経領域、がん領域において、医薬品の販売を展開している。
|
【製品パッケージ写真】
|