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「タミフル®」に関するお知らせ
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| 中枢神経系に関する試験 | |
| 1. | 健常人ボランティアにおける脳脊髄液(CSF)中の「タミフル®」(オセルタミビル)濃度を測定した結果では、オセルタミビルおよびその活性代謝物の濃度は低く、血漿中で見られたこれらの濃度の約3%であった。このことから、これら薬物の中枢神経系(CNS)への移行は限られていることが示唆された。 |
| 2. | 成熟ラットにおけるCSF中および脳内のオセルタミビル濃度の測定結果では、オセルタミビルとその活性代謝物のCSF/血漿比および脳内/血漿比はともに低く、これら薬剤のCNS移行が限られていることが示唆された。 |
| 3. | オセルタミビルがヒト脳内カルボキシエステラーゼ(酵素)によって活性代謝物へと変換されるかどうかを検討した試験では、代謝変換が活発に行なわれる肝臓と比較して、脳内における変換は少なくとも300分の1と低いことが示された。 |
| 4. | オセルタミビルがサルの脳内ノイラミニダーゼに対して阻害活性を有するかどうかを検討するための試験では、活性代謝物が示すウイルスのノイラミニダーゼへの阻害活性とは対照的に、オセルタミビルおよびその活性代謝物のいずれも、脳内ノイラミニダーゼに対して明らかな活性を示さなかった。なお、ヒトとサルのノイラミニダーゼは極めて類似している。 |
| 5. | 7日齢(幼若)ラットの行動機能観察に及ぼす高用量のオセルタミビルの影響と脳内移行を測定した試験では、CNS特異的と考えられるような行動学的所見は何ら認められず、またオセルタミビルおよびその活性代謝物は、幼若ラットにおいても脳内/血漿比は低く、成熟ラットにおいて観察されたものと同様であった。 |
| 心血管系に関する試験 | |
| 1. | 細胞・組織を対象にした心血管系の安全性評価試験(hERG試験およびモルモット乳頭筋活動電位試験)において、オセルタミビルは高濃度(臨床用量における血漿中濃度の少なくとも150倍の濃度)においても作用が小さかった。また、これらの試験で活性代謝物は何ら影響を及ぼさないことが示された。 |
以上より、健常人ボランティアや動物におけるこれらの結果は、以前の幼若ラット試験における脳内濃度を除けば、これまでに得られていた非臨床試験での様々な所見と一致しており、「タミフル®」のCNS移行性が限られていること、ならびに「タミフル®」が中枢神経系や心血管系に対して悪影響を及ぼすような作用機序を有しないことを示唆するものであります。今後とも新たな基礎・臨床の成績が出た段階で、それらを共有・評価するための会議が計画されています。
オセルタミビル幼若ラット試験成績における脳中濃度について
今回、新たに実施された幼若ラットを用いたリン酸オセルタミビル単回投与毒性試験におけるオセルタミビルの脳中濃度は、2001年に実施された幼若ラット試験での結果に比べ非常に低いものでした。このため、中外製薬およびロシュ社は直ちに試験成績を改めて確認したところ、以前に行われた試験では測定値の計算に誤りがあり、特に幼若ラットにおけるオセルタミビルの脳中濃度は、実際よりも高い濃度で算出されていたことが確認されました。この試験は試験計画書に沿って行われたもので、その元となるデータは問題のないものです。その元となるデータからの計算の誤りを正した場合には、新しい試験の成績とほぼ矛盾はないと考えられます。ロシュ社は、以前に行われた試験の血漿中および脳中の薬物濃度の測定を実施したCROに対し、誤りを正した報告書の提出を求めています。
経緯
2001年に外部CRO 2社に委託して幼若ラットを用いたリン酸オセルタミビル単回投与毒性試験(以下、旧試験)が実施された(1社は動物実験を担当、他の1社が血漿中および脳中の薬物濃度測定を担当)。この試験において、オセルタミビル1,000mg/kg単回投与時の脳中オセルタミビル未変化体AUCは、42日齢のラットと比較して7日齢ラットでは1,500倍、14日齢ラットでは650倍になるとの結果を得た。中外製薬およびロシュ社はこの試験成績を既に報告している(カプセル剤予防承認時参考資料二-1;2004年7月9日承認)。
ロシュ社は、米国NIHが実施する2歳未満の乳幼児における「タミフル®」の安全性と薬物動態試験をサポートするため、新たな幼若ラット試験(以下、新試験)を計画した。新試験は、旧試験とは別のCRO
2社に委託して本年4月に開始された。「タミフル®」の基礎ワーキンググループからも、本試験成績提出の指示を受けた。
新試験については、10月にロシュ社より、新試験においては、旧試験で認められたような高い脳中濃度を示す成績が得られていないようだとの報告を受けた。このため、直ちに両社で協議し、両試験データのレビューを実施して不整合の原因を探った。10月末までに、旧試験において脳中濃度の計算における問題点が見出され、ロシュ社は直ちに担当CROに測定結果の再確認を指示した。一方、新試験については、10月30日に血漿中・脳中薬物濃度測定の報告書が作成され、ロシュ社はデータのレビューを行い問題のないことを確認した。11月14日に中外製薬もこの報告書を受け取り、内容を確認した。
これを受け、11月16日に新旧試験成績の不整合、推定される原因および今後の対応をまとめたカバーレターを添え、新しい幼若ラット毒性試験の報告書(草案)を厚生労働省医薬食品局安全対策課に提出した。同日、ロシュ社はEMEAとFDAに同じ内容の報告を行った。
| 旧試験における脳中濃度計算における問題点 | |
| 1) | 全ての脳組織サンプルについて検量線を誤って使用したため、オセルタミビルおよびオセルタミビルカルボキシレート(活性代謝物)の濃度が実際よりも10倍高く算出されていた。 |
| 2) | 幼若ラットの脳組織サンプル中のオセルタミビルの濃度の計算において、希釈倍率の適用を誤ったため、実際よりも50倍高く算出されていたものがあった。 |
| 上記1)2)の誤りが重なったサンプルについては、脳中のオセルタミビル濃度は、実際よりも500倍高い濃度に算出されていた。 |
以上の問題点は、中外製薬およびロシュ社の確認を通じて見出されたものです。ロシュ社が旧試験を委託したCROは、ロシュ社からこの問題点の指摘を受け、現在データの詳細について改めて確認を進めており、報告書が再提出される予定です。
新試験では、幼若ラットにおける「タミフル®」の血漿中濃度に対する脳中濃度の比は低い結果が得られています。中外製薬およびロシュ社では、旧試験での問題点を是正した場合、新試験と旧試験の脳中濃度の結果に大きな矛盾がないことを確認しています。
なお、他の試験成績の信頼性についても、改めて確認を進めています。
以上