新たな経営体制のもと、革新的医薬品の創出とさらなる発展に挑戦します
当社は、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献します」というミッションを掲げています。そして、このミッションのもと、2010年代後半には、「国内外において革新的な新薬を継続的に提供する日本のトップ製薬企業」となることを経営の基本目標としています。
こうした中、2012年3月28日、当社は激変する事業環境に対応するための経営力の一層の強化と迅速な意思決定を目的に新たな経営体制を敷くこととしました。永山治が代表取締役会長 最高経営責任者(CEO)に就任し、中長期的な全社戦略と重要案件の意思決定を行い、小坂達朗が代表取締役社長 最高執行責任者(COO)に就任し、業務執行上の意思決定を行います。また、上野幹夫は代表取締役副会長に就任し、社会責任、リスクマネジメントや監査など、企業ガバナンスやコンプライアンス全般の責任を担います。
2011年は、東日本大震災による影響もあり、成長への取り組みが制限されました
2011年を振り返りますと、何より3月に発生した東日本大震災による影響を避けては語れません。まずは、この場を借りて、被災された皆さまに心よりお見舞い申しあげますとともに、被災地の一刻も早い復興をお祈り申しあげます。
この未曾有の大災害に、当社も大きな影響を受けることとなりました。委託先を含めた生産拠点の被災により、損失を計上しただけでなく、一部の製品が10月末まで出荷調整を余儀なくされました。卸売企業の多大なご協力もあり、なんとか患者さんへの薬剤供給が滞るという事態は避けられましたが、MR活動が大きく制限されたほか、予定していたプロモーション活動を中止・縮小せざるを得ない状況となりました。「ミルセラ®」「エディロール®」という2つの新製品発売を控えるとともに、「アバスチン®」「アクテムラ®」といった大型製品の加速を見込んでいた当社にとって、この影響は多大でした。結果、売上高で前年比1.6%減少の3,735億円、当期純利益についても前年比15.0%減少の352億円と、厳しい業績となりました。
研究開発では、過去最高の進捗を果たすことができました
2011年では、新製品2つに加え、「ゼローダ®」や「ハーセプチン®」の胃がんでの適応拡大など、12プロジェクトが適応拡大承認を取得しており、実に14プロジェクトで承認を果たすことができました。当社の歴史をひもといてみてもこれだけの年間承認数はなく、2012年以降の売上拡大への寄与が大いに期待できます。さらに、6つのプロジェクトが新たに臨床試験を開始し、当社の臨床開発パイプラインは引き続き充実したものとなっています。
また、技術面での成果としては、2010年に発表した画期的な「リサイクリング抗体」技術を改良し、リサイクルの効率を上げることで血液中から抗原を除去することができる「スイーピング抗体」技術を開発しました。2012年1月には、こうした技術に特化した新規抗体創製を早期に行っていくため、シンガポールに中外ファーマボディ・リサーチ社を設立しました。
長年の知見と卓越した技術を背景に、個別化医療のリーディング・カンパニーとして邁進します
現在の製薬業界では、グローバルレベルで激変しており、後発医薬品の伸長や新興国市場の拡大といった傾向とともに、アンメットメディカルニーズ領域への参入や市場拡大が見込まれるバイオ医薬品へのシフトが一段と強まっています。こうした中、アンメットメディカルニーズ領域を中心に革新的な医薬品創出を志向し続けてきた当社には、力強く成長を続けていくだけの機会とポテンシャルがあるととらえています。抗体医薬品とがん領域におけるNo.1のシェアと、今後の成長市場においてトップポジションを確立しているアドバンテージは強力です。今後はこうした強みを活用し、今後の医療の中核となっていくであろう個別化医療についても率先して取り組んでいく考えです。長年培ってきたバイオ、抗体技術などを背景に、個別化医療分野では他社に先行していると自負していますが、リーディング・カンパニーとしてさらにアクセルを踏んでいきます。ロシュ・グループの診断薬部門との連携も一層強化し、個別化医療に基づく創薬・開発により注力するとともに、個別化医療の市場浸透、普及に向けた取り組みに邁進していきます。
当社の強みや価値を最大化することで、日本のトップ製薬企業の実現を目指します
当社は、2010年代後半に、あらゆるステークホルダーからの期待に応えられる企業として、日本のトップ製薬企業となることを目指しています。この実現に向けては、重点戦略として「革新的新薬の継続的創出・獲得」「製品価値最大化」「海外展開の強化」に取り組んでいます。「革新的新薬の継続的創出・獲得」では、バイオ・抗体技術や分子標的探索技術など、当社の強みを最大限に活かした創薬研究を進めるとともに、ロシュからの有力開発候補テーマの導入も積極展開し、臨床開発パイプラインの一層の充実を図ります。「製品価値最大化」については製品ライフサイクルマネジメント体制の強化と、がん領域をはじめとする重点疾患領域でのさらなるプレゼンス拡大に注力します。「海外展開の強化」では、自社創製品「アクテムラ®」の海外での市場浸透の加速と「アクテムラ®」に続く革新的医薬品の開発・上市を目指していきます。
日本のトップ製薬企業を実現していくことで企業価値向上を果たす当社にご期待ください
2002年のロシュとの戦略的提携から2012年10月で10年が経過します。これまでを振り返ってみますと、研究開発、生産、営業など、すべての面で提携が当初の計画どおりに進んだものと自負しています。がん領域を中心にロシュからの導入品を数多く上市・浸透させてきたほか、ロシュとの関係を最大限に活用して成長基盤の強化に注力してきました。現在では、国内のがん領域や抗体医薬品市場のシェアだけでなく、臨床開発パイプライン、研究開発基盤、技術力、いずれをとっても国内トップクラスであると認識しています。また、統合によって拡大した人員や生産・研究設備についても、ライフサイクルマネジメント体制の定着や生産性の向上などを通じ、筋肉質な経営体質に変革することができました。
こうして確立してきた成長基盤を活かし、2011年より新たな成長ステージに入っています。今後は、ますます激変する事業環境に対応しながら、日本のトップ製薬企業の実現に向け、あらゆる事業活動のさらなる革新を図ります。
日本のトップ製薬企業の実現を目指し、医療の質の向上に向けて挑戦を続けていくことこそ、企業価値を向上させ、株主をはじめステークホルダーの皆さまのご期待にお応えする最善の道だと確信しています。
今後の当社に、ぜひご期待ください。

