2001年12月、中外製薬はスイスの世界的製薬会社ロシュ社と戦略的提携に関する基本合意を締結したと発表しました。そして翌2002年10月、中外製薬は旧日本ロシュ株式会社と合併。ロシュ社は当社の発行済み株式数の50.1%を取得し、新生中外製薬が誕生。この時から当社はロシュ・グループの一員となりました。
この提携の目的と意味は、製品ラインアップと開発パイプラインの拡大、製薬会社の成長に欠くことのできない研究開発基盤の強化が図れること。そして、当社の優れた医薬品を世界市場に提供し、当社がグローバル展開を進めるための有力な足がかりができることです。また、ロシュ社にとっては、なんといっても世界第2位の市場である日本での強力な基盤の確保ができることです。ともにバイオに強い企業として米国のジェネンテック社も含むロシュ・グループ全体でシナジーが生まれる、まさにWIN-WINの提携関係です。
日本の製薬業界における再編の動きのなかで、この戦略的提携はこれまでにないビジネスモデルの創造として注目を集めました。

戦略的提携の合意内容
- 株式の保有比率と経営に関する取り決め
- 2002年10月1日:中外製薬と日本ロシュの合併と同時に、ロシュが新会社株式の過半数を取得
- 合併日より10年間、ロシュは当社株式を段階的に買い増すことが可能
- 2002年10月〜2007年9月:上限50.1%
- 2007年10月〜2012年9月:上限59.9% (2008年5〜6月に権利行使)
- 2012年10月以降:ロシュは中外製薬の東証上場維持に協力
- 中外製薬はロシュ・グループ入り後も自主経営を継続、ロシュはこれを尊重
- 製品に関する取り決め
- 中外製薬がロシュ製品の日本国内の開発・販売に関する第一選択権を保有
- 中外製薬が自社製品の販売につき海外で提携先を求めた場合、ロシュが第一選択権を保有
飛躍的に強化された製品・開発品
ロシュ社との戦略的提携により、特に売上高、シェアともに国内第1位であった腎および骨・関節領域はさらに強化され、また、がん領域は提携前の第9位から2008年には第1位にランクアップし、戦略領域内での競争優位性を確保しています。また、がん領域での抗がん剤と支持療法剤*の組み合わせ拡大など、領域内のシナジーも拡大し、より幅広いニーズに応えられるようになりました。
*がん化学療法時の副作用の発現を予防・管理し、患者さんのQOLを向上させる治療剤。
飛躍的に強化された製品・開発品

研究におけるロシュ社とのシナジー(相乗効果)
2002年のロシュ社との戦略的提携以後、飛躍的に増加した開発パイプラインにおける大型開発品の臨床開発に全社的に注力する一方で、研究部門においても提携による成果が着実に現れてきました。
基盤強化の第一の要因は、ともに異なる分野で高い国際競争力を有していた中外製薬研究部門と日本ロシュ研究部門の統合によるシナジーです。中外製薬は80年代から「エポジン®」「ノイトロジン®」の研究開発に取り組み、その後国産初の抗体医薬品「アクテムラ®」を創出するなど、日本におけるパイオニアとして国内トップを誇るバイオ医薬品研究体制を有していました。一方日本ロシュは、国際的な標準治療薬となった抗悪性腫瘍剤「ゼローダ®」を生み出すなど、合成医薬品の創製に卓越した技術基盤を有していました。両組織の統合の結果、新生中外製薬はバイオ医薬品と合成医薬品の両方に優れた創薬力を備えるに至りました。2006年以降6品目もの自社開発品が臨床フェーズ入りを果たし、うち3品目はロシュ社に導出のうえ海外で共同開発を進めています。
ロシュ・グループ入りによる研究基盤強化の第二の要因は、インフラ面の充実です。提携後、ロシュ社との間で化合物バンク・化合物評価データベースなどの研究ツールの共用や抗体医薬品開発に関する情報の共有が行われています。世界トップレベルの創薬基盤へのアクセスが可能となったことにより、特に新薬シーズの探索やリード化合物最適化において研究生産性の向上が実現しています。
さらに、グループ内での競争も新薬開発力の向上に寄与しています。ロシュ・グループ入りにより、当社の開発品は研究のごく早期からグループ内の他の研究テーマと比較されることとなりました。早い段階から「グローバルに通用する価値があるか」という視点で選別がなされるようになった結果、従来よりポテンシャルの高い品目が臨床フェーズ入りを果たすこととなり、これが開発パイプラインの質的向上につながっています。
より強固なグローバル競争力の確率

